
シーラス・エアクラフト社は、まもなくデリバリー開始予定の単発ジェット機Vision SF50(Vision Jet)に搭載されるアビオニクスを発表しました!
ガーミン社が新開発した「Cirrus Perspective Touch」です!
Vision SF50は、ビジネスジェットとして運用するに十分な性能を備えていますが、自家用パイロットの免許を持っているオーナー様自身が操縦を楽しめることが売りでもあります。ですから、パフォーマンスはもちろんのこと、プロのパイロットでない方にもわかりやすく、使いやすい、という点も非常に重要です。
「Cirrus Perspective Touch」は、シーラスSRシリーズのアビオニクス「Cirrus Perspective」をベースに開発されました。
そのため、SRシリーズに搭載されていた様々な優れた機能・・・たとえば、対地接近警報装置や赤外線ビジョン、オートパイロットが危険な姿勢からリカバーしてくれるブルーレベル・ボタンやESP機能などは、Vision SF50でも引き続き使用できます。
今回は、Cirrus Perspective Touchに進化して、新たに搭載された機能の一部をご紹介しましょう!
タッチスクリーン
Cirrus Perspective Touchでは、なんとタッチパネルを使ってアビオニクスの操作ができるんです!
Cirrus Perspective "Touch"という名称が、まさにこの機能を意味していますね。
スマートフォンやタブレット端末と同じようなアイコンベースのユーザーインターフェースは、パイロットにとって親しみやすく、これまでノブやボタンで行っていた機器操作が、より直感的に行えるようになりました。
上の画像を見ていただくと、下段にある三枚のパネルが光学式タッチパネルです。グローブを着けて操縦する方も多いと思いますが、着用したままでも問題なく反応します。
三枚のタッチパネルには、PFD、MFD、NAV/COMのコントロール画面を任意のパネルに表示させることができます。また、一般的なパソコンと同じQWERTY配列のキーボードを表示させることができ、これでフライトプランなどのデータ入力を行います。必要に応じてスタンバイ計器を表示させることもできます。
PFDとMFD
上段の二枚のパネルが、PFDとMFDです。
太陽光に照らされても見やすい高解像度の液晶ディスプレイで、サイズは14インチ(35.5cm)。10インチ(オプションで12インチ)だったSRシリーズよりも大きくなっています。
PFD、MFDは、様々な分割画面構成での表示が可能です。PFDの飛行計器、MFDのナビゲーション情報と併せて、航空機のシステムや周辺のトラフィック、天候などの監視画面を表示させることができます。
システムの監視
エンジン、燃料、電気系統、防氷装置、着陸装置など、様々な情報をグラフィカルに表示できます。
従来の小型機のアビオニクスでは、小さなランプやメーター、文字による表示が一般的でしたが、それよりもずっと容易に航空機の状態を把握できるようになりました。単発プロペラ機よりも複雑なジェット機のシステムを、自家用パイロットが使いこなすための工夫のひとつです。
チェックリスト
Cirrus Perspective Touchでは、画面に電子チェックリストを表示させることができます。
ガーミンのG1000や、シーラスSRシリーズに搭載されているCirrus Perspectiveにも、電子チェックリストの表示機能が付いていますが、タッチパネルになったことで、操作がはるかに容易になりました。
通常操作、異常操作、緊急操作などのチェックリストの他、パフォーマンスデータにもアクセスできます。
ドキュメントの閲覧
画面上で飛行規程などのマニュアル類を閲覧できます。分厚いマニュアルもタッチパネルを使えば楽々取り扱えますね!
メモリーカードを挿入すれば、ご自身が持ち込んだドキュメントを表示させることもできます。
重量重心の計算
Cirrus Perspective Touchには、重量重心を計算する機能が付いています。
紙で計算するより、ずっと簡単で、ミスの心配が少なく安全です。これはなかなか便利ですね!
いかがでしょうか。今回ご紹介したのはCirrus Perspective Touchの機能のほんの一部でしたが、シーラスSRシリーズやその他の小型飛行機のアビオニクスとは一味違う、新しいテクノロジーを感じていただけましたか?
最近の旅客機に採用されつつあるEFB(Electrical Flight Bag)のような機能もあり、より便利で安全なフライトが実現できます。
以前、「創業者が語るVision SF50開発秘話」でもご紹介したように、Vision SF50の開発にあたっては、シンプルさと安全性、そして何よりも、飛ばすことの楽しさが重視されました。
従来の高性能ジェット機を飛ばすには複雑なシステムを使いこなす必要があり、個人所有のビジネスジェットと言えど、特別な教育訓練を受けたプロのパイロットでなければ扱えないのが実情でした。それを一般の自家用パイロットが楽しく操縦できるための工夫を凝らした結果、開発されたのがCirrus Perspective Touchです。
趣味で操縦できる高性能ジェット機―――
そんな乗り物がいよいよ実現するんだという実感が湧いてきました!
今後も、Vision SF50とCirrus Perspective Touchの情報をお伝えしてまいりますので、ご期待ください!