
6月4日・5日(土日)、千葉県の幕張海浜公園で、レッドブル・エアレースが開催されました!
日本(幕張)では二年連続の開催です。昨年のレースの模様については、こちらのブログでレポートしています。
今回のレースで最も注目された選手は、何といっても日本人パイロット室屋義秀選手です!昨年は惜しくもRound of 8で敗退してしまいましたが、地元での優勝に大きな期待がかかっていました。
また、弊社が代理店を務めるアメリカの航空機メーカー、シーラス・エアクラフト社がスポンサーになっているマイケル・グーリアン選手も、室屋選手と同じレースに参戦しました。
6月4日(土)には、予選が予定されていましたが、強風と高波のため、残念ながら中止になってしまいました。
6月5日(日)の本戦は、あいにくの曇り空でしたが、レースに支障はなく無事開催。今年も多くの観客が詰めかけました。
まず行われたのは、1対1のペアがタイムを競う「Round of 14」
予選では、各選手が本戦と同じコースを2回飛び、そのうちのベストタイムを元に、本戦のスタート順と対戦相手が決定されます。予選が中止になった今回は、規定により、現在のランキングを基に組み合わせが決定されました。
ランキング11位の室屋義秀選手は、4位のピート・マクロード選手(カナダ)と対戦することになりました。ピート・マクロード選手は、2009年にレッドブル・エアレース史上最年少のパイロットとしてデビューした、成長著しい若手パイロットです。
先に飛んだのは室屋義秀選手。大勢の観客が注目する中、室屋選手の機体が近付いてきたのですが、何かおかしい・・・。機体の通過経路を示すためのスモークを出さないまま、スタートゲートを通過してしまったのです!(マシントラブルとのことです)
スモークを出さずに飛ぶとと、1秒のペナルティが与えられてしまいます。0.1秒を争うエアレースではかなり厳しい状況になってしまいました。
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スモークが出ていない室屋選手の機体 |
ところが、後から飛んだ対戦相手のピート・マクロード選手が、途中のミスを挽回しようと気が焦ったのでしょうか、既定の10G(重力加速度の値、機体とパイロットにかかる負荷の大きさ)を超えて失格になってしまいました。日本人の初優勝を祈るような表情で見守っていた観客からは大歓声!険しい表情で離着陸場に戻った室屋選手にも結果が伝えられ、一瞬驚いたあと笑顔を見せる様子も、大型スクリーンに映し出されました。
一方、ランキング9位のマイケル・グーリアン選手は、6位のベテランパイロット、ナイジェル・ラム選手(英国)と対戦しました。
昨年、グーリアン選手は終始落ち着いたフライトでRound of 8まで勝ち進み、今年は更なる躍進を期待されていたのですが、今年はなんとオーバーGでいきなりの失格!強敵ラム選手を相手に攻め急いでしまったようです。残念な結果になってしまいました・・・。
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シーラス・エアクラフト社のイメージカラーとロゴが施されたグーリアン選手の機体 |
Round of 14の最速タイムは、マルティン・ソンカ選手(チェコ)が記録した1:04.352でした。
次に行われたのは、Round of 14で勝った7名のパイロット、及び敗者の中で最速タイムを記録したパイロットが、再び1対1のレースを行う「Round of 8」
室屋義秀選手の対戦相手は、現在のランキングで断トツのトップに立つ、マティアス・ドルダラー選手(ドイツ)。かなり厳しい戦いが予想されます。
最初に飛んだ室屋選手は、何と1:04.610のタイムを記録!Round of 14でマルティン・ソンカ選手が出した最速タイムに次ぐ好タイムです!
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Round of 8 室屋義秀選手 |
これがプレッシャーになったのか、後から飛んだマティアス・ドルダラー選手は、まさかのオーバーGで失格!ランキングトップの選手が敗れる波乱の展開になりました。
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Round of 8 マティアス・ドルダラー選手 |
Round of 8の最速タイムは、この対戦で室屋義秀選手が記録した1:04.610でした。
最後に行われたのは、Round of 8で勝利した4名が、1本勝負で飛行タイムを競う「Final 4」
Final 4で室屋義秀選手が対戦するのは、ナイジェル・ラム選手(イギリス)、カービー・チャンブリス選手(アメリカ)、マルティン・ソンカ選手(チェコ)です。
最初に飛んだのはナイジェル・ラム選手。1:05.734とやや精彩を欠くタイムでフィニッシュ。
Final 4 ナイジェル・ラム選手 |
2番手が室屋義秀選手。ここで室屋選手は1:04.992の好タイムを記録!観客からはどよめきと歓声が上がります。表彰台に上がるのは確実になりました!あとは悲願の初優勝を遂げるか否か!?
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Final 4 室屋義秀選手 |
3番手はカービー・チャンブリス選手。途中までは室屋選手のタイムを上回っていたものの、後半に失速して1:05.618に終わり、室屋選手の2位以上が確定!
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Final 4 カービー・チャンブリス選手 |
そして最後に飛んだのが、Round of 14で今大会の最速タイムを出しているマルティン・ソンカ選手。観客の大半がモニターに釘付けで見守る中、ソンカ選手も途中までは室屋選手のタイムを上回るペースで果敢に攻めます。しかし終盤、コースの端に設けられた急旋回の難所「マクハリ・ターン」で、既定の10Gをオーバーすることを恐れたのか、わずかに失速。
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Final 4 マルティン・ソンカ選手 |
最終的なタイムが確定した瞬間、観客からはこの日一番大きな歓声が上がりました!
室屋選手のタイム1:04.992と、2位ソンカ選手のタイム1:05.097は、わずか0.1秒差。これが「世界最速のモータースポーツ」です!
25年のキャリアで悲願の初優勝を遂げた室屋選手、本当におめでとうございます!
これで室屋義秀選手はランキング4位に浮上。
実は今大会の前に、レッドブル・エアレースで最も大きな成功を収めたパイロットとして知られるポール・ボノム選手が、前人未踏の3度目のチャンピオンシップ制覇を成し遂げた2015シーズン限りでレースを引退しました。
王者ポール・ボノム選手の引退により、2016年のタイトルレースはにわかに混迷を深め、誰が優勝してもおかしくない状況と言われています。もちろん室屋選手にも大いにチャンスがあります!
大きなトラブルが無ければ今後のレースにも同じ顔触れの選手達が出場しますので、室屋選手のライバルとなるマイケル・グーリアン選手、ほか多数の個性的な選手達にも、ぜひご注目ください。
次のレースは、現地時間7月16・17日(土日)に、ハンガリーのブダペストで開催されます。今後も熱い展開から目が離せません!