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航空機の時間管理

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航空機の時間管理

飛行時間について考えることがあったので、今回は航空機の時間の管理ついて述べてみたいと思います。

最近、時間の集計の自動計算なるものをつくっていました。

60進法の○○時間○○分をすべて分表示に直して、分表示から再度、○○時間○○分に戻すなどのような演算を考えていて、ひさびさに混乱してしまいました。データベースで自動的に計算させたいために悩んでいたわけです。

表示された”時間”を「時:Hr」と「分:Min」にわけて、Hrに60を乗じて全てMinで表示し、演算をした後、もう一度、「Hr」と「Min」にわけて”時間”を表示させ、時間の足し算、引き算を行わせています。

LngMinutes = (timeA \ 100 + timeB \ 100) * 60 + (timeA Mod 100) + (timeB Mod 100)
時間計算ADD = (LngMinutes \ 60) * 100 + LngMinutes Mod 60

こんな感じになりました。


一般的に航空機は飛んだ時間でコントロールされています。

自動車ですと、走行距離などがありますが、航空機の場合は時間なんですね。

航空機検査業務サーキュラーTCL-41A-71によれば、

「航空機及び装備品の整備及び改造を管理する目的で使用する時間はブロック・タイム又は実飛行時間(使用時間)とする。この場合航空機等の使用者はどちらかに統一しなればならない。航空法第18条及び航空法施行規則第31条第2項で規定する「指定する時間」規則第142条第2項で規定する「航行時間」、「使用時間」、「飛行時間」並びに規則第216条による整備規程で使用する「限界時間」、「整備の間隔」に用いる時間はこれにあたる。」

と規定されています。


ここでブロック・タイムなる時間があります。「航行時間」というものです。

航空機が飛行の目的のために、当該機の動力を用いて動き出した時点から着陸後静止するまでの時間をいいます。離陸のためにドアを閉めランプ・アウトしてから着陸してランプに入り、ドアを開けるまでですね。

一方、飛行時間とは、通常「実飛行時間」を指します。航空機が浮揚してから接地するまでの時間を言います。一般的にはこちらのほうがイメージしやすいでしょう。

ヘリコプターではホバリングをフライトとみなさず、ブロック・タイムに加算することもありますが、整備上ではフライトとして考えます。


一般的に、これらの記録をする計器を、アワーメーターもしくはホッブスといいます。

アワーメーターは、電源が入ると、時間を記録しはじめ、メーターが回ります。

ホッブスは、エンジンが始動され、オイルの油圧が生じるとスイッチが働きメーターが回ります。

つまり、アワーメーターはブロック・タイムなのですね。そしてホッブスは実飛行時間を管理しているということになります。


さて、シーラスは・・・・というと、

2つのアワーメーターがついています。つまりどちらも電気的に作動しています。

#1アワーメーターは従来通り、電源が入るとメーターが回ります。つまりブロック・タイムです。

しかし#2アワーメーターは、EFISのGEA71というユニットと連動して、機体の速度が35ノット以上に達すると働きはじめ、メーターが回ります。こちらがホッブス、つまり実飛行時間というわけですね。

ただし、日本の事業会社の多くは、このようなメーターに頼らず、機長が時間をメモし、航空日誌に記述した実飛行時間を信頼して記録として採用しています。

アワーメーター

一方、製造会社がアワーメーターで管理するよう言及していることもあります。

下の画像はロビンソンR22のメンテナンス・マニュアルの一部です。

ロビンソンR22のメンテナンス・マニュアル

このヘリコプターは機体側は、アワーメーターで管理され、エンジンは、機長が日誌に記述した実飛行時間で管理されています。

不思議といえばふしぎです。こうすることによって、エンジンのTBOの時間のギリギリまで、使いたいユーザーにとっては有利になることがあります。

アワーメーターがフライト以外の地上移動等の時間を含んでいるのに対し、実飛行時間はこれを含みません。なので、エンジン単体では実飛行時間管理をしておけば、フライト以外の時間を含まずにエンジンの使用時間のみを考慮することができ、アワーメーター上で、例えば2000時間に到達したとしても、エンジン単体では1800時間程度だったということもあり得るわけです。そういうユーザーさんも存在します。


定期的な整備も、飛行時間で管理します。

定時整備は、50時間点検、100時間点検などというものがあり、機体やエンジンのメンテナンス・マニュアルの整備要目の章に記述があります。別に整備要目の項目だけを取りまとめて、一冊のマニュアルにしたケースもいくつかの製造者では見られます。

多くの機体は、100時間点検が通常行う点検の中で機体全体をひと通り見る重たい点検とみなされています。

航空機の製造者によっては、年次/100時間点検が200時間点検などになる飛行機もあります。2年などのような暦日による定時整備が設定される航空機もあります。

航空機の耐空性の維持は、飛行時間が基本となって管理されます。

アワーメーターを使わないなら、ログの記入漏れがないように気を付けたいものですね。

今日もログ締めのために時間計算に勤しむ整備担当でした。

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