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CAPSの仕組み

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CAPSの仕組み

みなさん、こんにちは鹿児島整備担当です。

今回は弊社が輸入販売をしているシーラス機の「CAPS(キャップス)」について書かせて頂きます。

CAPSとはCirrus Airflame Parachute Systemの略です。 簡単に説明致しますと、“飛行機にパラシュートを付けました!“というものです。

もし上空にてエンジンが止まってしまった、又はスピンに陥ってしまった等の緊急事態が起こったら、一般の機体では緊急着陸又は最悪墜落といった状態になってしまいます。シーラス機に標準搭載されているCAPSは、機体に備えられたパラシュートを機外に放出し機体自体をパラシュートで吊り軟着陸させることで、このような最悪の事態を回避する画期的なシステムです。

このシステムを整備するためには、シーラス社の整備トレーニングを受講する必要があります。私も5月に同僚の整備士3名とアメリカへ出張し、約2週間の訓練を受講してきました。前職ではセスナ172が中心だったり、海外出張など皆無だったのでJGASのアクティブさには脱帽です。

さて、話を戻しましょう。トレーニングの際に「これまでCAPSシステムで134人の命を救いました」と教官が仰られていました。

日本でも、2014年10月、鹿児島県の指宿市にて、サイパンから韓国にフェリーフライト中のSR20型機(N176CD)が、フェリータンクの切り替えに失敗したことが原因でエンジンが止まってしまった際、CAPSで軟着陸し、操縦していたパイロットがかすり傷程度で助かった実績があります。

シーラス曰く、珍しいシステムなのでパラシュートを開くとスグにニュースが世界中を駆け巡るそうで・・・。エンジン停止等の故障率は、他メーカー機より圧倒的に低いにも関わらず、報道率は他メーカーより圧倒的に高いとのこと(笑) 確かに、パラシュートで飛行機が降りてくるのはメディアの興味を引きます・・・。

では、どのように作動するのか簡単に説明します。

コクピット上部に取付けられたハンドル(Activation Cable)を引くと、荷物室後部のイグナイターが作動し、ロケット内に備えられた火薬に点火することにより、ロケットが機外に150mph(240km/h)以上のスピードで飛んで行きます。

同時に、パラシュート及び後部を支えるハーネスがロケットに引っ張られることで機外へ、前部を支えるハーネスも引っ張られ胴体両側面からバリバリと出てくることで、機体を3点で支えます。

ハンドルを引いてからここまでが1秒で完了します。

その後は機速が低下し、機体は下向きに姿勢を変化させ、最後にラインカッターが作動し後部を支えるハーネスがさらに伸びることにより機体を水平に近い姿勢に戻します。 その姿勢を保ったまま機体を着陸させます。

以下の図及び動画を参照して頂けると分かり易いかと思います。

シーラス機CAPS(緊急用パラシュートシステム)作動の仕組み

こちらは実際にCAPSが作動したところを捉えた動画です。燃料欠乏により海上に着水する様子を、事前に通報を受けた沿岸警備隊が撮影しました。(この事故の詳細についてはこちらのブログをご覧ください)

ちなみに、一部のアクロバット用の機体にもCAPSが追加装備されているものが存在します。

こちらはアクロバット飛行中の片翼欠損時のCAPS作動動画 です。最後、機体は炎上してしまうもののパイロットは無事だったそうです。

CAPSの点検は100時間点検から存在します。なお、CAPSの整備に関してはシーラス社に認められた整備士でなければなりません。引き続き、安全で確実な整備を実施していきます。

長文最後まで読んで頂きありがとうございました。 今後とも宜しくお願い致します。

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