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8.12 日航機墜落事故から30年

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8.12 日航機墜落事故から30年

時は去り 想出遠くなりぬとも 忘れざらめや 尾根の霊を

群馬県上野村の慰霊の園の小さな碑に刻まれた歌です(平成7年8月建立 慰霊の園理事長 黒澤丈夫)。この歌が詠まれてからも、すでに20年の時が経つのですね。

運航本部長の山口です。30年前のこの日、私はJALの訓練生として成田で研修を受けていました。

乗員乗客524名のうち、乗客505名、乗員15名、計520名もの尊い命が失われた日本航空123便(JA8119)の御巣鷹の尾根への墜落は1985年8月12日18時56分26秒。今なお単独の航空事故としては最悪です。

日航機墜落事故の遺族により建立された碑
遺族により建立された碑(1988年8月)。事実関係が淡々と記されているだけですが、それが却って胸を打ちます

この日を境にして、私の幼稚な夢は厳しい覚悟へと変わりました。事故が起きたときの余りにも悲惨な現実を目の当たりにして、飛行機を飛ばすということ、プロ・パイロットになるという意味について真剣に考えさせられました。

飛行機は、統計上はとても安全な乗り物です。確率論で語れば安全だと、少なくとも危険な乗り物ではないと言い切れます。しかし、ひとりの人間にとっての安全・安心とは確率で語れるもの、語って良いものではない。御巣鷹の尾根を散策すれば解る。そこには、実際に亡くなった方、そのご遺族、ひとりひとりの想いが溢れています。当事者にとっての現実は100%であるという、そんな当たり前の事実に愕然とします。

供えられたおもちゃに、日航機墜落事故で子を失った親の気持ちが痛いほど伝わってきます
供えられたおもちゃに、子を失った親の気持ちが痛いほど伝わってきます

プロ・パイロットになれば、飛ぶことは日常に変わります。もちろん、安全のうえにも安全を期し、確実なフライトを心掛けはします。それでも、日常になれば人には慣れが生じる、どこかに心の隙が生まれる、知らず知らずのうちに安易な考えに陥りがちです。もう、それは人の性として仕方がないとしか言いようがない。

だからこそ、想像しなくてはいけないのだろうと思います。この悲劇を思い出し、犠牲になられた方、ご遺族の気持ちを想像すること。そして、二度とこのような悲劇を繰り返さないため、プロ・パイロットとしての自分に何ができるのかを考えること。

合掌を模した日航機墜落事故の慰霊塔
合掌を模した慰霊塔。奥に見えるのが納骨堂。その彼方に御巣鷹の尾根を拝むことができます

安全には、具体的な対策が要る。念仏のように唱えるだけで維持できるものではない。だからこそ、過去の事故を教訓に多くの対策が練られてきた。多くの手法も確立されてきた。ただ、その根底には、多くの犠牲になられた方への想いが、想像力が、必要なのだろうとも思うのです。

8月12日は、私たち航空に携わる者にとって、決して忘れてはならない日なのだと、そう若いパイロットたちにも教えたいと思っています。

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