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法や規程を遵守するということ

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法や規程を遵守するということ

いつもJGAS AVIATION BLOGをお読みいただき、ありがとうございます。運航本部長の山口です。私の拙い文章で、私の想い、会社の想いが、みなさんに正しく伝わっているのかどうか、ちょっと不安ではあるのですが、空を愛する者同士… きっと想いは伝わるはずだと信じて、今日もよしなしごとを綴ってみたいと思います。

今日はちょっと堅い話をしましょう。長文ですが、しばらくお付き合い下さい。

弊社は、国土交通大臣から航空機使用事業の許可を得て事業を行っています。使用事業の許可を得るためには、それはそれは大変な規程の作成や組織体制の構築、訓練の実施など多くの困難を乗り越えねばなりません。なぜ、このような苦労をしなければならないのか。

当然です。航空法第1条(この法律の目的)で謳われているとおり、日本国および航空機を運航する者は「航空機を運航して営む事業の適正かつ合理的な運営を確保して輸送の安全を確保する」重大な義務(責任)を負っているからです。この義務は「手段」であって「目的」は「公共の福祉を増進すること」ではあるのですが、航空法の理念を実現する(目的を達する)には、航空法を遵守し、あまた在る手段を適切に運用(利用)しなければなりません。そもそも、そのように「航空法」は規定されています。法や規程とは道具ですから。

航空法と運航基準
左はお馴染みの航空法。ここから派生する通達や細則は膨大な数に上る。右は弊社の運航基準。日常運航にかかる細かな基準が定められている。

他の法規、通達、要領、細則等々も、基本的な考え方は同じ。もちろん、会社が定める規程類も同じです。航空機の運航の安全を確保し、適正な事業を継続して行うためには、これらの法や規程を遵守することが、最も合理的かつ、実は簡単なのです。

この「合理的かつ簡単だ」といった主張は、なかなか理解され難いかもしれません。法や規程は私たちを縛るものであって助けるものではない、と思われがちだからです。法や規程は障害だから、これらを無視することは自由を得ることであり、より多く会社が儲かり、より私たちは幸せになれる…

とまではさすがに思わないでしょうが、このような考え方に近い理解は、まま見受けられます。法を破り規程を無視し、発覚して処分や指導を受ける例が後を絶たないのが、その証拠。

もちろん、単に知らなかった、失念していた、勘違いしていた、などといった場合もあるでしょう。法や規程はほどほど複雑ですし、改訂も頻繁に繰り返されます。完璧な人や組織などありませんから、そのような理由を理解できなくもありません。それでも、少なくとも、プロとして失格だ、とは言えます。

そして、私は同時に、なんと勿体ないことを、と思います。だって、法や規程を守ることは「合理的かつ簡単」だからです。遵守すれば目的を達せられるように(完全ではないにせよ、それに近づくように)作られているからです。余計なことは考えず、書かれている通りにしておけば(殆どの場合)問題ないように作られているからです。

法を理解するのが面倒だ(難し過ぎる)、規程は他人が決めたもので俺には関係ない、あんな複雑な条項なんて誰も解るわけがない、規程がなくたって俺はうまくやれる… そう思うことはとても勿体ないこと。ちょっと頑張りさえすれば、もっともっと楽ができるのに…

法や規程に頼らなくても安全に飛行機を飛ばせるのが腕のいいパイロットだ! などと、もし少しでも思っているのでしたら時代錯誤も甚だしい。確かに、本当にパイロットの能力が試されるのは、どこにも書かれて(規定されて)いないことに遭遇した時と緊急避難(法律用語としてのそれ)が避けられない時なのかもしれません。正解のない事態に対処することは、誰がどう考えたって難しい。ただ、これらは一生のうち一度あるかないかの事態です。法や規程を遵守することの重要性を否定するものではありません。

法や規程の遵守は、合理的かつ簡単である。

法や規程を守れ! 守れ! 守れ! って口を酸っぱくして言うよりも、私は「皆で楽をしようよ~」と諭します。法や規程を遵守することは、自分を守り、家族を守り、お客さまを守り、そして皆で楽をすることなんだ、と私は考えています。

民間航空操縦士訓練学校についてのご質問・ご相談・お問い合わせは、メールや電話でお受けしております。こちらよりお気軽にお問い合わせください。


補足:

ブログ本文は、法や法に基づく各種規程類には「時代の趨勢や変化に対応できず実態と乖離している場合がある」、「政治的思惑や国家の都合(エゴ)によるもので適切ではない」、「網羅すべき対象をそもそも誤認している」などの誤謬が含まれていて、遵守が困難もしくは遵守するには無理な解釈を必要とする、などといった議論があることを否定するものではありません。また、法や規程を守ることだけが「自己目的化」し、本来「法や規程は道具(手段)である」といった側面を忘れてしまうことが多いのも事実です。硬直化した「法や規程ありき」で思考停止に陥ってしまうことは、守れない法や規程を作り出してしまうことにもなりかねません。

法や規程をどう捉えるべきかの議論には、みなさんそれぞれの理念や主張があろうかと思いますし、私の考え方が絶対に正しいと述べているわけでもありません。ただ、多様な捉え方があるにせよ、法や規程を遵守することが「合理的かつ簡単である」と考えることは、日々の通常の運航において(法の精神からしても、実体験上も)重視すべき考え方であることは間違いありません。

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