
いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。運航本部長の山口です。
今日のタイトルは、シンプルに「監査」。思わずちょっと身構えてしまう言葉ですが、航空機使用事業を営む弊社にとって、避けては通れない関門です。
監査とは、改めて説明するまでもなく、ある対象を様々な視点で検査・確認すること - 実施する者が会社の職員である「内部監査」と、社外の組織(多くの場合、監督官庁)である「外部監査」に分けられます。また、検査・確認する視点によっても「業務監査(会社の事業が適切に実施されているか)」であるとか、航空に関する事業を営む者には当然の「安全監査(安全に関する施策が正しく実施されているか)」などと区分されます。
弊社では安全管理規定(SMS)や整備基準で内部監査が規定されています。また、航空局による外部監査も定期的に受ける必要があります。
先日、東京航空局航空振興課による鹿児島事業所の業務検査(立入検査)を受検しました。航空機使用事の許可を取得してほぼ1年。航空振興課は、航空機使用事の許可に関わる審査の中心となった部署です。許可を出した責任上、許可申請時の通りに業務が実施されているか、事業の継続性に問題はないか等々、書類(定款や登記簿謄本、組織図と社員の一覧など)を調べ、現地調査(格納庫や事業機の現況など)も行って確認します。
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業務検査(立入検査)の通知書。業務検査は、航空機使用事業者としての会社の状況が監査の対象。 |
提出する書類の作成、業務フローの確認など、事前の準備は必要ですが、立入検査の為だけに特別な対策を立てるわけではありません。緊張感をもって受検するのは当然ですが、表面だけを取り繕って受検しても意味がありません。会社の組織、日常の業務のありのままを見てもらい、指摘事項があれば真摯に受け止め改善を図れば良いのです(もちろん、指摘事項はないに越したことはありません)。
そのような気持ちで受検しましたが、無事「事業が申請時のとおり適正に実施されていることを確認しました。指摘事項はありません」との評価を受けることができました。現場の日々の業務を見る限り大丈夫だと確信してはいましたが、ホッとしたのも正直なところ。やっぱり監督官庁の監査って、それなりに緊張はするのです。
この感覚って… そう、操縦士の技能審査と同じ。飛行機の操縦だけが試験ではない、会社も試験を受けているんだ… ということに改めて気付かされました。
プロ・パイロットは退職するその瞬間まで、試験に次ぐ試験を乗り越えねばなりません。会社だって同じなのです。事業を続ける限り、日々、業務の改善を図りながら監査に次ぐ監査を乗り越えて前に進まなければならない。
先週は内部監査も実施しました。運航本部(運航本部長)が整備本部を、整備本部(整備本部長)が運航本部を監査しました。違った立場の者が、客観的な目で、互いの問題点を探し合うのですから、部署間に波風も立ちそうなものですが、内部監査は互いを揶揄するものではないと双方が理解しています。友好的に、有意義に、内部監査を終えました。
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整備基準で定められている内部監査の指示書。監査事項のフォームは十数ページに亘る。 |
いくつかの問題点が発見されても、それは改善すれば良いだけのこと。
実際、軽微な課題も見つかりました。書類の作成ミス、馴れ合いに陥りやすい業務フロー、決裁に係る認識の甘さ、業務負荷の特定の者への偏り、等々。
すぐにすべてを解決できるわけではありません。
それでも、課題を見つけ、解決のための努力をすることこそが、結果として良好な職場環境を創り、社員の皆が満足して働けることにも繋がるのだと… それが、より多くの満足を、航空の安全を、お客さまに提供する唯一の道なのだと…
そう弊社は考えています。当たり前のことですね。
月末には、航空局航空事業安全監督官の「安全監査」も受検します。弊社の安全管理体制に問題はないかどうか、厳しく監査されます。問題は見つからないに越したことはありませんが、指摘事項があればそれを好機に、より高度な安全管理体制を構築すればいい。
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安全監査立入検査の通知書。運航基地である鹿児島事業所を監査する旨が通知される。 |
弊社はこれからも、より高度な安全文化を組織に根付かせるため、数々の施策を実施して参ります。これがJGASクオリティだと自信を持って言える体制を創って参ります。ご期待下さい。
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