
みなさん、こんにちは。運航本部長の山口です。いつも当ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。
JGAS鹿児島フライトトレーニングセンターは、拠点空港(国管理空港)である鹿児島空港を基地にしています。校舎(教室)は弊社格納庫内にありますし、もちろん訓練機も弊社格納庫で整備しています。
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弊社の鹿児島格納庫内に3つの教室とFTD室がある |
訓練機をいつでも触ることができるだけでなく、整備の現場もつぶさに観察することができます。弊社の整備士は、訓練教官でもあるので、訓練生からの質問には積極的に答えますし、異職種との交流はエアラインに巣立った後も役立つことでしょう。
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教室には大型のプロジェクタが設置されており、PCを用いた先進的な授業を行うことができる。このプロジェクタは電子黒板にもなる |
教室からは滑走路も見えますし、学びの環境すべてがプロ・パイロットへの夢を支えてくれるのではないでしょうか。
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教室からはRWY 34の滑走路末端側が見える。鹿児島空港には多くの航空会社が乗り入れているため、多種多様な航空機を観察できる |
…と、ここまで鹿児島空港の弊社格納庫に校舎があることのメリットを説明しました。これらは民間航空操縦士訓練学校のパンフレットにも書かれていることです。
でも、鹿児島空港が基地であることの最も重要な意味は、実はこのような表面的な事ではなく、実際の運航(訓練飛行)に関連した「ある事柄」です… 何だと思いますか?
そう、それは管制… あるいは空域と言っても良いでしょう。
まず、鹿児島空港にはアティス(ATIS:Automatic Terminal Information Service:飛行場情報放送業務:127.05MHz)があります。進入方式、使用滑走路、風向風速や視程、雲などの気象情報を無線で聞くことができます(毎時)。パイロットはこれを事前に入手し、管制官との最初の交信時に飛行場情報入手済みの旨を伝えなければなりません。
航空機が計器飛行方式(IFR)で出発する場合は、クリアランス(管制承認)を取得する必要がありますが、この専用周波数も設定されています。これをクリアランス・デリバリー(DLVRY:Delivery:管制承認伝達席:121.8MHz)と呼びます。
管制承認を得たら、次は地上滑走の管制指示を受ける専用周波数に無線を切り替えます。グランド(GND:Ground:地上管制:121.7MHz)と呼びます。グランドからはタワー(TWR:Tower:飛行場管制:118.2MHz)への切り替えが指示され、離陸許可はタワーが出しますが、離陸後はディパチャー(DEP:Departure:出域管制:119.4MHz)への切り替えが指示されます。
その後、航空機の管制は福岡航空交通管制部(福岡コントロール)に移管され、指示された周波数へと無線を操作し、必要な交信をすることになるのですが、これら一連の手順は、エアライン機の運航とまったく同じ。当然と言えば当然ですが、訓練機だからといって、その空港(空域)に設定された手順を簡略化することはできません。
つまり、鹿児島空港を基地にする限り、エアライン機が一般的に行っている運航の手順を、訓練機でも実施できるのです。この事実は、特に計器飛行証明を取得する訓練課程において大きな意味を持ちます。
鹿児島空港(空域)には、上記のほか、到着機に対する管制指示を行うアプローチ(APP:Approach:入域管制:126.0MHz)や、有視界飛行を行う航空機に対しレーダーサービスを提供するターミナルコントロールエリア(TCA:Terminal Control Area:ターミナルレーダー管制業務:120.0MHz)も設定されています。
鹿児島空港はATC(Air Traffic Control:航空管制)が提供するすべてのサービス(業務)を、実際に使いながら訓練できる空港である…
鹿児島空港が基地であることの意味がご理解いただけましたでしょうか。
JGAS鹿児島フライトトレーニングセンターでは、このような理想的な環境において訓練を提供しています。
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