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8.12 日航機墜落事故から32年

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8.12 日航機墜落事故から32年

1985年8月12日18時56分26秒。今年もこの日がやってきます。32年前のこの日、私はJALの訓練生として研修の真っ最中でした。

いつも私の拙いブログにお付き合いいただき、ありがとうございます。JGAS鹿児島フライトトレーニングセンター 運航本部長の山口です。

乗員乗客524名のうち、乗客505名、乗員15名、計520名もの尊い命が失われた日本航空123便(JA8119)の事故。毎年、8月になると思い出さずにはいられません。そして、改めて自分の足下を見つめ、自問自答することになります。

おまえは「安全」を、本当に理解しているのか、と。


弊社の安全憲章に付された日付

弊社の安全管理規程(SMS)に安全憲章が定められています。安全憲章は、会社の全ての事業の根幹にある「理念」であると同時に、常に追い求める「目標」を明確化した標語でもあります。各事業所の事務所内の見やすい場所に掲示されていますし、社員証の裏にも印刷されています。

JGAS安全憲章

安全憲章は、弊社の安全に対する決意を表明したもの

この安全憲章をよく見て下さい。右下に日付が書いてあります。安全憲章を定めた日(2014年8月12日)です。わざわざ、日付を書いている訳は…

もちろん、お話しするまでもないでしょう。8月12日は、航空界で仕事をする者なら決して忘れてはいけない日ですし、弊社の安全憲章をわざわざこの日に定めたのも、それを決して忘れはしないという強い意志からです。

弊社の安全憲章には、制定日が付されています。その意味を弊社の全員が知っています。32年前のこの日に何が起きたのか。既に、大半の社員にとって、産まれる前の事故なのですが、今なお単独の航空事故としては最悪の日航機墜落事故。

8月12日は、安全憲章を改めてじっくりと考え、そして、あの悲劇を思い出す日なのです。


想像力は安全の命綱

飛行機は、統計上はとても安全な乗り物です。単位距離当たりの確率でいえば、どんな移動手段よりも安全だと言い切れます。しかし、ひとりの人間にとっての安全・安心とは、確率で語れるもの、語って良いものではない。

御巣鷹山慰霊碑(昇魂之碑)
群馬県多野郡上野村の御巣鷹の尾根に建立された御巣鷹山慰霊碑(昇魂之碑)。今年も鎮魂の鐘が鳴らされているのでしょう

御巣鷹の尾根を散策すれば解ります。そこには、実際に亡くなった方、そのご遺族、ひとりひとりの想いが溢れています。当事者にとっての現実は100%であるという、そんな当たり前の事実に愕然とします。

プロ・パイロットになれば、飛ぶことは日常に変わります。日常になれば人の意識には慣れが生じる、どこかに心の隙が生まれる、知らず知らずのうちに安易な考えが芽生えてくる… 今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫だ、と。何の根拠もないのに。

もし、自分が飛ばしている飛行機で人が亡くなったら、あるいは自分が死んだら? どれほどの人が嘆き悲しむのだろう、どれほどの痛みを与えることになるのだろう、どれほどの可能性を、未来を失うことになるのだろう。

想像して下さい。正しく畏れて下さい。事故は、いつだって、すぐ隣で牙を剥いている。

8月12日は日航機墜落事故を思い出し、犠牲になられた方、ご遺族の気持ちを想像する日。二度とこのような悲劇を繰り返さないため、プロ・パイロットとしての自分に何ができるのかを考える日。鎮魂と安全への覚悟を、改めて自分に言い聞かせる日。です。

安全には、具体的な対策が要る。念仏のように唱えるだけで維持できるものではない。だからこそ、過去の事故を教訓に、多くの対策が練られ、多くの手法も確立されてきた。ただ、その根底には、多くの犠牲になられた方への想いが、想像力が、必要なのです。


時は去り 想出遠くなりぬとも 忘れざらめや 尾根の霊を

(平成7年8月:慰霊の園理事長 黒澤丈夫)


私は毎年、この日は静かに目を閉じて、安全への想いを新たにすることにしています。

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