
みなさん、こんにちは。いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。JGAS鹿児島フライトトレーニングセンター 運航本部長の山口です。
このブログを書いている今、まさに平昌冬季五輪の開催中ですが、日本初の金メダルを羽生結弦選手が取りましたね。演技も結果も凄く良かったけれど、何よりも私が凄いなと思ったのは、昨年末の故障から、この短い期間で復活を果たしたこと… 怪我の後の全力の演技には恐怖すらあったのではないでしょうか。滑り終えた直後の右足首に手を添えた姿を見て、やはり重圧はあったのだと感じました。本人の弁によれば、最後まで踏ん張ってくれてありがとう、と感謝していたのだとか。
自分を(他人を)信じる力、頑固さ、柔軟さ
以前のブログで、融通が利かず教官の指導にも従わない頑固者はパイロットには向かないとお話ししました。一方で、何でもかんでも言われた通りハイハイと従い、自分の軸を持たない者もパイロットには向いていません。言ってることが矛盾してるじゃないか! そう感じられるかも知れませんね。
いよいよプロ・パイロットになるんだと、訓練が始まるんだと、そう決意し覚悟した、あの日の気持ちを忘れないで下さい |
訓練とは何か? 何のために行っているのか? を改めて考えてみれば、私の言いたいことが解っていただけるのではないかと思います。
訓練とは、今までできなかった事(あるいは、これからもできない事)を「できるようにする」その過程で行われる、一連の学習や行動のことです。教官の指導の下、操縦を繰り返し行い(訓練)自らもイメージフライトを反復(練習)し、時に激しく自らを(あるいは教官が)鍛える行為(鍛錬)を指します。
訓練では、教官の指導を受け容れ(素直さ)イメージフライト(練習)では、悩みながらもこれを繰り返すことが重要なんだ、と納得し(自分や教官を信じる力)机上の勉強や仲間との交流を通じて日々の努力を愚直に続けること(頑固さ)の全てが求められます。
そしていつしか、パイロットは、日々の努力を通じて身につけた多くの生きた知識と経験によって「自信に裏打ちされた柔軟性」を得ることになる。柔軟性とは、他者からの指示に対し盲目的に従うことではなく、他者からの指示を自らの判断に基づき解釈し行動を変えられる(行動に幅がある、選択肢が多い)こと。この領域にまで達さなければプロとは呼べません。
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連続離着陸訓練に使う天草空港で。訓練は厳しいけれど、自分の目標に近づいている実感も湧いてきます |
羽生結弦選手は、あの4回転ジャンプの回数を公言していませんでした。演技の組み立てを当日のコンディションによって柔軟に変えられるだけの自信(それは、それまでの練習に裏打ちされている)があったのだと、そして実際に変更して金メダルを勝ち取ったのだと、解説者は語っていました。
頑固であることと柔軟性があることは矛盾しません。
華やかな姿の裏に、人知れずの努力がある
訓練・練習・鍛錬、そして試験・審査、身体検査は、パイロット人生そのものです。パイロットを目指して訓練を始めた瞬間から、飛行機を降りる(引退する)その瞬間まで、数十年に亘って続きます。そうでなければ、練達のパイロットにはなれないのです。
プロ・パイロットはかっこいい、華やかだ、高給取りだ、モテる(笑)… 一般的な認識はそうでしょう。もちろん、そんなに間違ってはいません。ただ、その華やかな姿の裏には、想像を絶する努力があるのです。アスリートたちと同じように。
民間航空操縦士訓練学校の卒業生は、卒業のその瞬間、自分の強さ(挫けない心)に感謝することでしょう。そして、次の目標に向かって目を輝かせることでしょう。そうであって欲しいと、そのような卒業生を送り出したいと、私たちは願っています。
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鹿児島空港 R/W 34の風景。これが日常になっても、同じ進入・着陸は二度とない。柔軟にその日の状況に対応できなければプロにはなれない |
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