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飛行準備

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飛行準備

みなさんこんにちは。操縦教官の中村です。
最近は蒸し暑く外に出たくない日々が続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

さてタイトルにも書いていますが今回は飛行準備について少しお話をさせていただきます。

航空業界の皆さんや航空機に詳しい方なら既にご存知のことだとは思いますが、少しお付き合いください。


大型旅客機も小型機も含むすべての航空機(飛行機や回転翼航空機、滑空機、飛行船)の機長は、毎回飛行する前に必ず行っていることがあります。

機長の「出発前の確認」です。

実はこれは航空法で定められている項目なのです。これを行わないで飛行すると・・・航空法違反になります(行わない機長は絶対にいません)。航空法第七十三条の二 及び 航空法施行規則 第百六十四条の十四で定められています。詳しい内容に興味がある方はインターネットで調べてみてください。

内容を簡単に説明したいと思います。
項目としては、6項目あります。

①航空機の整備状況やエンジン等の整備状況の確認
航空機やエンジンにはマニュアル等で定められている定時点検があります。時間点検までに何時間飛行できるか?最近どんな不具合があり、どのように対処しているか?など確認する項目です。
部品など交換している場合はどのような作業をしたか?など整備に確認したりすることもあります。

②航空機の重量・重心位置の確認
その飛行に搭乗される人数や搭載する燃料の量を確認し、航空機の離陸重量や着陸重量を算出します。航空機ごとに最大の離陸重量や着陸重量が定められており、その重量を超えて離着陸をすると機体が破損したり、離着陸に必要な距離を大幅に超えてしまいます。とても危険です・・・。
普段使っている乗用車では馴染みは少ないかもしれませんが、大型トラックなどの過積載も重量オーバーで警察の取り締まりを受けてしまいますよね。

③航空情報の確認
陸する空港や目的地の空港の情報や、飛行予定の経路に関して、運航上障害になるような情報を確認する項目です。
離陸する空港や目的地の空港の情報としては、工事等で使用できない誘導路や駐機場などがあるか、メンテナンスで点灯していない灯火(ライト)はあるか、などなど。車で例えると、"高速道路のICが工事の為使用不可"や"1車線しか使用できない"など、交通情報や高速道路の掲示板で見たことありますよね? それと同じです。
また飛行予定の経路上の情報としては、ビル等についているライトや点滅しているライトで点灯していないものはあるか、などを細かく確認します。今の時期は花火なども情報としてあがってきます。

④気象の確認
航空機の運航にとって一番大切な項目は気象といっても過言ではありません。出発地や目的地、経路上、目的地に到着できなかったら代替の飛行場など・・・地上天気図や高層天気図、空港から出される空港の気象状態(METER)、今後の天気の動きなど・・・確認するものは色々あります。
しっかり確認して今後の予想をしても天気は変わります。その時その時で判断して運航を行っています。機長はその材料として出発前に気象を確認していろんな事を考えています。

⑤燃料やエンジンオイルの搭載量や品質の確認
必要となる燃料搭載量を確認していないと、飛行計画自体が成り立たないですよね?皆さんも車で遠出をするときは出発時に満タンにすることもあると思います。高速道路に入ってからガソリンの量が1/3を切っていると「入れておけば良かった・・・」と感じてしまいます(笑)
他にはエンジンオイルの搭載量です。エンジンはエンジンオイルの最低量や消費量などが決められており、飛行時間を考慮して確認を行います。

⑥積載物の安全性の確認
貨物エリアに輸送してはいけない危険物などが搭載されていないか?手荷物の固縛状況は確実にされているか?などです。旅客機に乗った際に、客室乗務員さんが座席の上に荷物を置いている際、シートベルトで固定しているのを見たことがあると思います。

そのほかに機体に損傷がないか?などを確認する外部点検などを行います。パイロットがエンジンや翼を確認しながら旅客機の周りを歩いている姿を空港で見たことがあるでしょうか。しっかりと項目に従って一つ一つ確認を行っているのです。唯一皆さんが空港などで見ることができる機長の出発前の確認事項は、この外部点検かもしれません。

毎回のフライトで様々な確認を行うことで、安全な飛行ができるのです。

もちろん予期せぬ不具合に陥ることも可能性としてあります・・・。そのためにパイロットは厳しい訓練を行っています。また1年に1回又は6ヵ月に1回、知識や技量を確認する審査を行っています。

ちなみに、車に車検証等の搭載が義務付けられているように、航空機にも搭載しなければならない書類が存在します。これらが搭載されているかを確認することも重要です。

車検証の不携帯や検査標章を表示せずに車を運転すると、50万円以下の罰金に処せられます。航空機の法定搭載書類も重要ですが、車の法定搭載書類も非常に重要です。50万円あったら美味しいものが何でも食べられます!お互い気をつけましょう!

少し長くなりましたが今回はこの辺で。

これからも暑い日々が続きますが体調など崩されないように体調管理をしっかりして元気にお過ごしください。

操縦教官 中村

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