
2月に入りまだまだ寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、冬と言えば雪ですね。先週は東京でも雪が降りました。
子供達にとっては待ち遠しい雪ですが、パイロットは非常に気を使わなければなりません。
飛行機は、滑走路から離陸して上昇し、再び滑走路に着陸します。
滑走路に雪が積もっていればどうなるでしょうか?車も雪道ではスリップして危険ですよね。飛行機も同様に、雪が積もった滑走路では離陸や着陸時にスリップしてしまうので大変危険です。
そのような状況を防ぐ為に、空港の除雪担当の方が、寒い中、滑走路の除雪作業を行ってくださいます。本当に「感謝」の一言ですね!
パイロットは、除雪が終わった滑走路の状態を確認し、風の状況を考慮しつつ離発着をしています。
危険があるのは滑走路上だけではありません。
飛行機が上昇して高度が上がるにつれて、外気温は地上の気温よりも低くなっていきます。
水から氷に変わる温度は一般的に0℃以下というのは皆さんご存知だと思いますが、外気温が0℃前後のときに雲や雨の中を飛行すると、飛行機の翼やプロペラに氷が付着する現象(着氷)が起こることがあります。
すると、翼についた氷で、翼の形が変わってしまい、揚力がうまく発生できなくなってしまいます。
そもそも飛行機は翼の形状で揚力を発生して飛行している為、揚力がうまく発生しない状態になれば飛行機は飛んでいられなくなるのです。考えただけでも危険な状態だとお分かり頂けると思います。
そのような状態に陥るのを防ぐ為に、航空機には防除氷装置がついています。
防除氷装置には、翼前面のゴム製の膜を膨らませて氷を飛ばす装置(除氷)や、エンジンから取り出した高温の圧縮空気を内側から当てて翼前面を熱くし、氷を付着させない装置(防氷)などがあります。
大型旅客機には必ずと言って良いほど防除氷装置がついていますが、小型機の場合は、ついている機体と、ついていない機体があります。ちなみにシーラスSR22とSR22Tは、翼前縁からアルコール液を噴射する防氷装置を搭載することができます。
防除氷装置を搭載していたとしても、翼への着氷という現象はパイロットにとって大敵ですので、外気温等を常に確認しながら、着氷のエリアを避けて飛んでいます。
このように、冬の季節になるとパイロットはすごく気を使って飛行しているのです。
小型機のパイロットの皆様、雪の日は無理をせず白銀世界の空を思いっきり楽しんでくださいね!
それでは、Good Flight!!
JGAS操縦教官 中村より