
弊社が日本総代理店を務めるテクナム社の四人乗り高翼双発機「P2006T」が、NASA (アメリカ航空宇宙局) が遂行している電気推進技術の実験プログラム"LEAR Tech"の実験機に選定されました。
「P2006T」は、軽量な機体と、燃料消費量を単発機並み (左右のエンジンを合わせて約10gal/h) に抑えることができるのが特徴の小型飛行機です。日本においては型式証明を取得している段階ですが、諸外国ではオーナー機や訓練機として、また、様々な改造を加えることができるため、航空測量機や哨戒機としても活躍の場を広げています。その柔軟性の高さが、NASAが「P2006T」を選定した要因のひとつにもなりました。
NASAは、より安全で効率が良く、低コストで、なおかつ環境にも優しい、ジェネラル・アビエーション向けの航空機の開発プロジェクトを遂行しています。
現在の小型飛行機は、航空用ガソリンでエンジンを回して推力を得ていますが、NASAは、それを今後10年間で、電力で推力を得る方法に移行させようと計画しています。自動車でも、地球環境に優しい電気自動車が普及しつつありますね。
そのプロジェクトの核となる技術が、"LEAR Tech" (Leading Edge Asynchronous Technology) です。
テクナム「P2006T」を改造した実験機は、9.5メートルの翼の前縁に18個の電動モーターを取り付け、そのモーターを回すことで推力を得ます。
翼の材質は炭素繊維の複合材で、前縁の電動モーターはリチウムイオンバッテリーで駆動します。これらはいずれも、アメリカに拠点を構えるES Aero社とJoby Aviation社が製造しています。
![]() |
![]() |
NASAの研究チームは、今後数年以内にP2006Tを改造した実験機を飛行させ、通常のP2006Tと性能を比較する実験を実施することを目指しています。
今回紹介した事例以外にも、スイス連邦工科大学の「ソーラー・インパルス」をはじめとして、電気を動力とした航空機の話題をよく耳にしますが、電気推進式の航空機が発売される日も遠くないかもしれませんね。
NASA | LEAPTech: Distributed Electrical Propulsion